相続した駐車場を売却するときのポイントとは

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目次

相続で引き継ぐ予定の土地の中でも、駐車場は一見扱いやすく見えますが、実は将来の負担になりやすい資産です。利用者が減ったり維持費がかさんだりすると、手放すタイミングを逃すこともあります。もらっても困る土地を残さないために、専門家とともに早めの相続対策を講じましょう。相続した駐車場の売却について、当メディア監修の公認不動産コンサルティングマスター永田氏に聞いてみました。

駐車場を売却する方法

更地にして売却する

駐車場を更地に戻して売却する方法は、住宅用や商業用など幅広い買い手層を狙えるので有利な手段です。アスファルト撤去や整地の費用はかかりますが、土地の用途が自由になることで高値での成約が期待できます。

ただし、立地や地盤の状態によって更地化+売却の費用対効果が変わるため、事前に専門家へ相談して判断することが大切です。

駐車場のまま売却する

現在のまま駐車場として売却する方法は、定期利用者がいる場合や収益性が高い土地に向いています。すぐに運用を開始できるため、投資家や企業からの需要も見込めることでしょう。

ただし、用途の自由度が下がる分、買い手が限られる傾向があります。まずは収益状況や契約内容を整理し、適正な査定を得ることからスタートです。

駐車場を売却する流れ

  • 売却価格の相場を調べる

駐車場を売る前に、まず地域の相場を把握しておくことが重要です。相場を調べる際には、立地や敷地面積、舗装の有無などによって価格は大きく異なるという視点も忘れないようにしましょう。まずは、公示地価や不動産ポータルサイトで近隣の取引事例を調べると、売却価格の目安をつかみやすくなります。

  • 不動産会社に査定依頼

自分なりに相場を把握したら、次に、複数の不動産会社へ査定を依頼します。駐車場は立地や舗装の状態、月極契約の有無などで評価が変わるため、1社だけの判断に頼らず、必ず複数社へ依頼しましょう。簡易的な机上査定を依頼するだけではなく、実際に現地へ足を運んでもらう訪問査定も重要です。

複数社の査定を比較することは、1社による囲い込み防止の牽制にもなります。

  • 媒介契約

査定結果を考慮して、最終的に仲介を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。

媒介契約の種類は「専属専任」「専任」「一般」の三種類があります。それぞれ販売活動の自由度や報告義務が異なるので、各媒介契約の内容を十分に理解して契約を結びましょう。

囲い込みを避けたい場合には一般媒介契約が無難ですが、一般媒介契約の場合、不動産会社によって売却活動に温度差がある場合もある点にご注意ください。

  • 売却活動

媒介契約後は、不動産会社が広告や案内などの売却活動を行います。

駐車場は、写真の見せ方や立地条件の強調により購入希望者の印象が大きく変わります。レインズへの登録やポータルサイト掲載など、情報公開の範囲も価格形成や集客に影響を与えます。

  • 売買契約

買主が決まったら価格や引き渡し時期などを調整し、売買契約を結びます。契約書には手付金額や解除条件など重要な項目が明記されるので、将来的なトラブル防止に向けて内容を慎重に確認し合い、お互いに曖昧な点を一切残さないようにすることが重要です。不明点があれば、仲介会社や司法書士へ早めに相談しましょう。

  • 引き渡し

契約締結後、代金の受領と同時に土地を引き渡し。所有権の移転登記や必要書類のやり取りを終えれば、売買は正式に成立します。

駐車場として貸していた場合は、利用者への通知や契約解除などの手続きも必要です。全ての手続き完了を確認してから引き渡しましょう。

  • 確定申告

駐車場の売却で利益が出た場合は、確定申告を行って譲渡所得税を納付します。課税対象となる譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた金額です。

所有期間が5年間を境に税率が大きく変わるので、事前確認の上、正しく確定申告を行いましょう。控除や特例を利用できる場合もあるため、税理士へ相談して確定申告をするようおすすめします。

駐車場の売却後にかかる譲渡所得税

駐車場を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税が課されます。課税対象となるのは、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として所得税15%、住民税5%がかかり、5年以下の短期譲渡所得では所得税30%、住民税9%が課されます。

特例控除などを活用すれば、税負担を軽減できる可能性があります。

駐車場売却の税金特別控除

5,000万円の特別控除

公共事業や土地区画整理事業などで土地を提供した場合には、譲渡所得から最大5,000万円を控除できる特例が設けられています。道路拡張や公共施設整備など、地域の公益性が認められる事業に土地を譲渡したケースが対象です。事業計画の認定や譲渡先が国・地方公共団体であることが前提で、一般の民間売却では適用されません。

適用を受けるには契約内容や時期に制限があるため、事前に税務署や専門家への相談しましょう。

2,000万円の特別控除

駐車場を貸付事業などの収益用資産として活用していた場合には、「事業用資産の買換え特例」を利用できる場合があります。土地や建物を売却後、一定期間内に新しい事業用資産を取得したときに、譲渡所得から最大2,000万円を控除できる制度です。

なお、控除適用には事業を継続することが条件であり、買換え先の用途や取得時期、面積要件などの細かい設定があります。駐車場経営者にとって、資産の再構築を後押しする有効な特例です。

1,500万円の特別控除

公共用地の取得や区画整理など、やむを得ない事情で土地を譲渡する場合には、最大1,500万円を控除できる特例が適用されることがあります。国や自治体が行う公共事業に伴い、補償契約や収用によって土地を手放すケースが主な対象です。駐車場であっても条件が該当すれば、譲渡所得を大幅に軽減できる可能性があります。

ただし、任意の売却や自己判断による移転では対象外となることが多いので、契約内容の確認が重要です。適用の可否については、事前に税務署へ相談するようおすすめします。

1,000万円の特別控除

火災・地震・洪水などの災害で土地が損壊して駐車場経営が不能となった場合には、譲渡所得から1,000万円を控除できる「災害関連特例」があります。被災地再建を支援する目的の制度で、災害後に一定期間内に売却した場合に適用されます。

適用には被災証明書や修繕困難の確認書類が必要です。対象範囲は限定されますが、実際の税負担を軽減する効果の大きい制度です。該当の可能性がある場合には、早めに専門家へ相談しましょう。

駐車場の相続税対策

小規模宅地の特例を適用する

駐車場を事業として貸し付けている場合は、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地の特例を利用できる可能性があります。もし適用されれば、200㎡までの土地について相続税評価額を50%減額できます。ただし、居住用宅地のような80%の減額は受けられません。

評価額は路線価や固定資産税評価額を基に計算されます。まずは、事前に土地の用途区分を明確にしておきましょう。

特例適用に必要な要件

この特例を受けるためには、相続税の申告期限まで貸付事業を継続していることが条件になります。途中で駐車場経営をやめたり、土地を売却した場合には適用が取り消される可能性があるので注意してください。実際に賃料収入を得ていることの証明、および契約書・帳簿などによる事業実態の証明も重要です。

継続的な事業体制を整えることに加え、適用要件を満たしているかについて、早めに専門家へ確認しておきましょう。

特例が使えない駐車場

すべての駐車場が小規模宅地の特例を受けられるわけではありません。アスファルト舗装だけで構築物がない「青空駐車場」は、事業用宅地とみなされない場合があるので注意しましょう。親族や知人に無償または低額で貸している土地も、事業実態がないと判断される傾向があります。

特例の適用には、継続した賃料収入や契約関係の明確化が不可欠です。判断が難しいときは、税務署や専門家に相談しましょう。

まとめ

相続前からの万全の準備で土地売却を成功へ導く

駐車場を含む土地の売却では、まず相場の確認から税金対策まで一連の流れを大きく把握しておくことが大切です。特に譲渡所得税や特別控除、小規模宅地の特例などは、事前準備の有無で税負担が大きく変わることを理解しておく必要があります。

これらの制度は要件が細かく、状況によって適用可否が左右されるため、専門家への早めの相談が不可欠です。相続前から専門家とともに土地の使い方や事業形態を整理し、高値売却へ向けた準備を進めていきましょう。

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