相続したマンションを売却するときのポイントとは?

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目次

親の住んでいたマンションを住む予定なく相続してしまい、維持費に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そのまま所有し続ければ固定資産税や管理費の負担が続くうえ、築年数の経過によって資産価値が下がるおそれもあるため、現実的には売却が有力な選択肢になるでしょう。

相続マンションの売却の流れや注意点について、当メディア監修の公認不動産コンサルティングマスター永田氏に聞いてみました。

相続マンションを売却する手順と共有名義

複数の相続人がいる場合、相続マンションを売却する際には、通常の不動産売却に加えて遺産分割の手続きが不可欠です。全相続人で意思の統一を図らなければ、スムーズな売却ができなくなる点にご注意ください。以下、遺産分割を伴う相続マンション売却の手順を見ていきましょう。

遺産分割協議と「換価分割」の検討

相続人全員で不動産の扱いを決める遺産分割協議を行い、合意内容を遺産分割協議書にまとめます。マンションは分筆できないので、売却代金を分け合う換価分割が現実的です。

取り分や仲介手数料・測量等の費用負担も具体化、署名押印で同意を可視化し、相続人代表者と連絡方法も明確化します。全員の合意に至らなければ、家庭裁判所での調停申立ても選択肢です。

相続登記(名義変更)を完了させる

遺産分割協議で売却方針と持分配分が決まった後、相続登記で名義を相続人へ移します。登記が未了だと所有権移転の売買契約を結べず、引渡しや決済ができない点にご注意ください。

登記に必要な書類は遺産分割協議書、被相続人の戸籍一式、相続人の住民票・印鑑証明などです。登録免許税の確認とあわせ、申請実務は司法書士への依頼が効率的です。2024年施行の相続登記義務化も踏まえ、早期に手続きを進めましょう。

不動産会社に査定依頼(販売活動)

名義が整ったら、不動産会社へ査定を依頼して販売戦略を設計します。複数社の訪問査定で相場を把握し、立地・駅距離・管理状況・修繕履歴・眺望などマンション特有の評価軸に基づいてチェックします。媒介契約については、囲い込み回避の観点から、販売レポートの頻度やレインズ登録の有無、内見受付体制まで事前に確認しましょう。

査定価格だけでなく、広告露出の方針や販売実績、担当者の提案力も比較検討します。

マンション特有の「お金」と「管理」の注意点

管理費・修繕積立金の滞納と精算

管理費や修繕積立金などの滞納があれば、売却前に必ず清算しておく必要があります。

これらの費用は所有者に支払い義務があるため、未納のまま売却すると、買主や管理組合とのトラブルに発展しかねません。引渡し日までに発生する分も現所有者が負担するのが一般的です。精算が済んだことを証明する「管理費等清算書」や「残高証明書」を取得しておくと安心でしょう。

売却前に滞納分をすべて精算しておけば、取引全体の信頼性が高まります。

管理組合への連絡と重要書類の引継ぎ

売却が決まったら、速やかに管理組合または管理会社へ連絡し、名義変更や手続きに関する確認を行います。連絡が遅れると、管理費の請求先や重要通知の送付先が混乱するおそれがあるのでご注意ください。

あわせて、管理規約や総会議事録、長期修繕計画書など、物件管理に関する重要書類は確実に買主へ引き継げるよう整理します。

各種の書類が過不足なく残っているマンションは、購入者からの信頼を得やすいく、スムーズな引渡しを後押しします。

長期修繕計画と物件評価額の関係

マンションの資産価値は、長期修繕計画と修繕積立金の状況に大きく左右されます。積立金が不足していると、将来的な大規模修繕が滞り、買主が将来の負担を懸念して購入を控えるケースもあるので注意しましょう。

特に旧耐震基準のマンションでは、耐震診断や改修が必要となる場合もあるため評価額に影響します。反対に、計画的な修繕履歴が残されている物件は、築年数が経過していても安定した評価を得やすいため、価格に大きなブレがありません。

譲渡所得税と節税特例の適用

譲渡所得税が売却益に対して課される点は、戸建てでもマンションでも同様です。ただしマンションの場合、適用できる節税特例が限られている点に注意が必要です。

(重要)空き家控除はマンションには適用されない

「空き家3,000万円特別控除」は、被相続人が一人で居住していた建物を相続した場合に適用される制度ですが、区分所有建物なので、特例の対象外です。

マンションは適用対象外です。同控除は適用されません。誤って適用を前提とした申告を行わないよう注意してください。

取得費加算の特例を活用し課税額を軽減

相続税を申告している場合は、「取得費加算の特例」を活用すると税負担を抑えることができます。

この特例は、相続時に支払った相続税の一部を譲渡所得の取得費に加算できるので、課税対象額を減らすことができます。

なお、適用には相続開始日から3年10か月以内の譲渡であることなど、一定の条件を満たす必要があります。計算が複雑なため、税理士に確認しながら進めると良いでしょう。

取得から5年以内の売却は税率が高い短期譲渡となる点に注意

取得から5年以下で売却した場合は「短期譲渡所得」が適用され、所得税30%・住民税9%の合計39%が課されます。長期譲渡(5年超)の20%と比べて税率が高く、手取り額に大きな差が出る点にご注意ください。

なお、マンションを相続した場合は、相続人は被相続人の所有期間を引き継ぐこととなります。取得起算日を確認し、タイミングを見極めて売却することが節税効果へとつながるでしょう。

売却が困難なケースと対策

相続したマンションの中には、築年数や共有関係、金銭的な問題などによって売却が難航するケースもあります。ここでは、特にトラブルの多い3つのケースを挙げ、それぞれの原因と現実的な対処法を紹介します。

旧耐震マンションは売れにくい

1981年以前の旧耐震基準で建てられたマンションは、現行の耐震基準を満たしていない可能性があるため、住宅ローンの利用が制限されることもあります。耐震性への不安から買主が見送るケースも多く、売却の難易度が高い物件です。

現金買取業者に相談することも一案です。

共有者の同意が得られず売却が進まない

相続でマンションを複数人が共有した場合、売却には全員の同意が必要です。そのため、意見の対立や音信不通の相続人がいると、手続きが進まず管理費や修繕積立金の負担だけが残るおそれもあります。

このような場合は、改めて換価分割を提案し、売却益を公平に分配する方法を検討しましょう。それでも合意を得られない場合には、最終手段として自分の持分のみを買取業者に売却する方法もあります。弁護士を交えた法的対応も選択肢となるでしょう。

管理費・修繕積立金の滞納に買主が懸念する

前所有者や相続人による管理費・修繕積立金の滞納があった場合、売却時にその負債が問題化。滞納額が多い物件は、買主が滞納の引き継ぎを懸念して購入を見送るケースも少なくありません。

もし滞納がある場合には、売却前に清算しておいた方が売却には有利です。支払いが難しい場合には、債務整理や現金買取を検討することも現実的な方法です。初めから債務超過が分かっている場合には、相続放棄も有効な選択肢になるでしょう。

まとめ

早い段階から売却に向けた準備を進めることが大切

相続したマンションの売却は、通常の不動産取引よりも確認すべき項目が多いので、できる限り早い段階から準備することが理想です。共有名義の整理や相続登記、管理費や修繕積立金の精算、節税特例の確認など、複数の要素を明確にしながら一歩一歩売却を進めていきましょう。

売却に向けたプロセスが複雑化しそうな場合、または判断に迷った場合には、積極的に専門家の助言を仰ぐことをおすすめします。

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