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不動産業界には、売主の利益を犠牲にして仲介手数料を独占しようとする「囲い込み」という悪しき慣習があります。法改正によって問題視され、規制も強化されましたが、現在でも水面下では横行しているのが実態です。この記事では、その典型的な手口と見抜き方を解説します。
不動産売却では、査定・売却活動・商談の各段階で、悪徳業者が仲介手数料を独占するために売主へ巧妙な嘘をつくケースがあります。ここでは、実際によく使われる「定番の手口」と、その見抜き方をわかりやすく解説します。
悪徳業者がよく使う手口のひとつが、「高預かり」と呼ばれる根拠のない高額査定です。売主の「少しでも高く売りたい」という心理につけ込み、実際の相場を大きく超える価格を提示して媒介契約の獲得を狙います。しかし契約後は、十分な販売活動を行わずに物件を意図的に放置するケースも少なくありません。そして売主が「なかなか売れない」と不安になった頃を見計らい、「市場が厳しいので値下げしましょう」と価格変更へ誘導するのが典型的な流れです。
売却活動中によくあるのが、「他社からの問い合わせはありません」「内見希望が入っていません」と売主へ虚偽報告をするケースです。実際には他社経由で買主候補から問い合わせが来ていても、自社で買主も囲い込んで両方から仲介手数料を得る“両手仲介”を優先するため、意図的に情報を隠します。表向きはレインズへ登録し、販売活動を行っているように見せかけながら、裏では「すでに商談中です」などと言って他社を断る“囲い込み”を行うのが典型的な手口です。
商談段階では、「この買主を逃したら次はありません」「今決めないと長期間売れ残ります」などと不安をあおり、不当な値下げを迫るケースがあります。特に悪徳業者は、自社で見つけた値引き希望の買主と両手仲介を成立させるため、売主に強い焦りを与える営業トークを使います。実際には他社から問い合わせや購入検討者が存在していても、その事実を伏せたまま、「今が最後のチャンスです」と説得し、売主に不利な条件で契約を妥協させるのが典型的な手口です。
不動産売却では、営業担当者の説明だけを信じていると、囲い込みや不当な値下げ誘導に気づけないことがあります。重要なのは、感覚や印象ではなく「客観的な証拠」で状況を確認することです。ここでは、売主自身がデータや第三者の動きを活用し、不動産会社の嘘や不誠実な対応を見抜くための具体的なチェック方法を解説します。
専任媒介契約・専属専任媒介契約を結ぶと、不動産会社にはレインズへの登録義務があり、売主には「登録証明書」が発行されます。この書類には物件情報だけでなく、売主自身が登録状況を確認するための「取引確認用パスワード」が記載されています。ログイン後は、自社物件の公開状況や取引ステータスを確認でき、「書面による申し込みあり(紹介不可)」など、実態と異なる表示になっていないかをチェックすることが重要です。実際には買付が入っていないのに、この表示で他社を断る囲い込みが行われるケースがあります。
囲い込みを見抜く方法として有効なのが、知人や信頼できる別会社に協力してもらい、一般の購入希望者や他社仲介業者を装って現在の仲介会社へ「物件を内見したい」と問い合わせてもらう方法です。売主には「まったく反響がありません」と説明しているにもかかわらず、実際には「現在商談中です」「すでに申し込みが入っています」などと嘘をつき、他社からの案内を断っているケースがあります。こうした対応を確認できれば、囲い込みや情報操作の実態を客観的に把握する有力な証拠になります。
囲い込みの有無を確認するには、SUUMO や LIFULL HOME'S などの大手不動産ポータルで、自分の物件がどの会社名で掲載されているかを確認する方法も有効です。本来は他社にも広く情報を公開し、多くの購入希望者を集めるのが正常な販売活動ですが、悪質な業者は自社だけで買主を囲い込むため、他社による広告掲載を制限している場合があります。複数社の掲載がまったく見当たらない場合は、「掲載不可」に設定され、市場への露出が意図的に抑えられている可能性があります。
悪徳業者の嘘や囲い込みの証拠を掴んだ後は、被害を拡大させないためにも迅速な対応が重要です。ここでは、売主が違約金などの不利益を避けながら、安全に媒介契約を解除するための実務的な進め方を解説します。
虚偽の活動報告や悪質な囲い込みは、単なる営業上の問題ではなく、媒介契約における「誠実義務」に反する重大な契約違反です。特に、他社からの問い合わせを隠したり、売主へ虚偽説明を行ったりする行為は、宅地建物取引業法が求める公正な取引にも抵触する可能性があります。この場合、契約違反の原因は業者側にあるため、売主は3ヶ月の契約期間満了を待つ必要はありません。違約金や広告費などの実費請求にも応じず、業者の債務不履行を理由として媒介契約を即時解除できるのが基本的な考え方です。
媒介契約を解除する際は、電話や口頭だけで済ませず、必ず書面で意思表示を残すことが重要です。口頭連絡だけでは「聞いていない」「合意していない」といったトラブルになりやすく、後から争いになる可能性があります。実務上は、レインズの画面保存(魚拓)や問い合わせ時の録音データなど、掴んだ証拠を整理したうえで、「媒介契約解除通知書」を内容証明郵便で送付する方法が有効です。解除理由を簡潔かつ客観的に記載し、感情的な表現を避けることで、不要な対立を防ぎながら手続きを進めやすくなります。
不動産売却で1社だけに依存すると、囲い込みや情報操作が行われても売主側では実態を把握しにくくなります。そこで有効なのが、複数の不動産会社へ同時に依頼できる「一般媒介契約」です。複数社が並行して買主を探すため、各社が競争意識を持って販売活動を行いやすくなり、1社が情報を独占するリスクを減らせます。また、他社からも問い合わせ状況や反響を確認できるため、「囲い込み」や情報隠蔽が物理的に成立しにくい環境を作れる点が大きなメリットです。
不動産売却を成功させるには、物件選び以上に「どの不動産会社へ任せるか」が重要です。ここでは、業者の乗り換え時や今後の売却活動で失敗しないために、誠実で信頼できる会社を見極めるポイントを解説します。
信頼できる不動産会社を選ぶうえでは、「売主の利益を最優先にする姿勢」を明確に示しているかが重要です。特に、「当社は自社で買主を囲い込まず、日本中の不動産会社へ情報を即時公開します」と宣言している“片手仲介型”の会社は、囲い込みのリスクを大きく減らせます。最初から両手仲介を前提にしない方針を掲げているかどうかは、誠実さを見極める大きな判断材料になります。
媒介契約を結ぶ前に、「レインズの登録証明書と取引確認用パスワードは、契約当日に受け取れますか?」と事前に確認することも重要です。誠実な会社であれば、情報公開を嫌がらず、即日交付やメール送付にもスムーズに応じます。逆に、この質問に明確に答えようとしなかったり、嫌がるような反応を見せる会社は、囲い込みや情報操作のリスクを疑う判断材料になります。
不動産売却で本当に重要なのは、営業マンの知名度や会社の規模ではなく、「売却活動が透明に行われているか」です。囲い込みや虚偽報告は、売主が状況を確認できない環境で起こります。「なかなか売れない」「今の不動産会社に不信感がある」と感じた場合は、すでに不適切な運用が行われている可能性もあります。当社では、他社契約中でも相談できる「無料・媒介契約セカンドオピニオン窓口」を設置し、レインズ不正操作や囲い込みの実態を客観的に診断しています。