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不動産テック企業のイタンジが不動産売買仲介業者を対象に実施したアンケートによると、「囲い込み」を実際に受けた、または見た・聞いた・感じたことがあると回答した人は全体の半数以上に上っているという結果が報告されています。
そこでこちらの記事では、なぜ囲い込みが行われるのかという点や、囲い込みの手口、対策について紹介します。
不動産会社が受け取れる仲介手数料は、上限が決まっています。実績を見ると、仲介手数料の上限を上回っている手数料の業者について知ることができます。このような企業は「両手仲介(売主も買主も自社で見つける)」ケースの可能性が高いと考えられます。
不動産会社が売主または買主から受け取れる仲介手数料は、物件価格に応じ一定の料率を乗じて得た金額を合計した金額以内となっています。この時に乗じる料率は下記の通りです。
| 物件価格の区分 | 料率(税込) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.50% |
| 200万円超400万円以下の部分 | 4.40% |
| 400万円超の部分 | 3.30% |
(株)不動産流通研究所が公表した「不動産流通各社の2025年度仲介実績」をもとにして、平均単価と手数料率を算出しました。
| 社名 | 取扱高(百万円) | 取扱件数(件) | 手数料収入(百万円) | 平均単価(万円) | 手数料率(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 東急リバブル | 2,563,527 | 33,922 | 109,378 | 7,557 | 4.27 |
| 三井不動産リアルティグループ | 2,287,966 | 36,220 | 106,963 | 6,317 | 4.68 |
| 住友不動産ステップ | 1,488,451 | 28,848 | 73,294 | 5,160 | 4.92 |
| 野村不動産ソリューションズ | 1,587,082 | 10,643 | 62,861 | 14,912 | 3.96 |
| 三井住友トラスト不動産 | 771,065 | 9,288 | 32,948 | 8,302 | 4.27 |
| 三菱地所グループ | 801,564 | 3,816 | 26,528 | 21,005 | 3.31 |
| 三菱UFJ不動産販売 | 613,330 | 4,057 | 26,261 | 15,118 | 4.28 |
| 積水ハウス不動産 | 275,233 | 5,522 | 12,722 | 4,984 | 4.62 |
| 住友林業ホームサービス | 230,935 | 4,784 | 9,971 | 4,827 | 4.32 |
| 大和ハウス工業グループ | 202,687 | 3,789 | 9,627 | 5,349 | 4.75 |
| 大京穴吹不動産 | 190,755 | 4,366 | 8,271 | 4,369 | 4.34 |
| 近鉄不動産 | 141,958 | 4,524 | 6,624 | 3,138 | 4.67 |
| 東京建物不動産販売 | 317,254 | 1,079 | 6,577 | 29,403 | 2.07 |
| 長谷工リアルエステート | 130,790 | 3,034 | 5,735 | 4,311 | 4.38 |
| 大成有楽不動産販売 | 116,829 | 2,113 | 4,782 | 5,529 | 4.09 |
| ポラスグループ | 95,441 | 3,359 | 4,391 | 2,841 | 4.6 |
| 阪急阪神不動産 | 100,128 | 891 | 2,828 | 11,238 | 2.82 |
| 小田急不動産 | 54,595 | 1,256 | 2,498 | 4,347 | 4.58 |
| 京王不動産 | 30,750 | 690 | 1,359 | 4,457 | 4.42 |
| 相鉄不動産販売 | 24,159 | 651 | 1,240 | 3,711 | 5.13 |
| 朝日住宅 | 20,503 | 533 | 804 | 3,847 | 3.92 |
上記2つの表を見ると、片手仲介の上限手数料を上回っているのは18社ありますが、これは両手仲介が業界では当たり前に行われていることを指しているといえます。ただし注意したいのが、両手仲介そのものは違法ではなく、両手仲介だからといって囲い込みを行っていると断定はできないという点です。売主と買主双方の情報を持っている会社が中立の立場で対応した結果として両手仲介となることは問題がありません。
国土交通省が問題としているのは、両手仲介を成立させるために故意に他者への紹介を妨げる、事実と異なる取引状況をレインズに登録する行為です。とはいえ手数料が2倍になる構造がある以上は、囲い込みが発生する動機が存在するという視点は持っておくことが大切といえます。
レインズ上では「公開中」となっているのに、他社が内見を申し込むと「商談中です」「先約が入っています」と偽って断る手口です。この場合、売主には他社から問い合わせがあった事実は伝えられないことになります。
専任媒介契約では7営業日、専属専任媒介契約では5営業日というレインズへの登録期限ギリギリまで引き延ばすことによって物件登録を遅らせる、情報そのものは掲載しているものの間取り図や写真の添付を行わないといった形で他社が紹介しにくい状態を作るといった手法も考えられます。
売主に「未公開物件の方が高く売れる」などの説明を行い、物件情報を自社ポータルサイトのみに掲載する手口です。他社の広告を一切拒否することによって、他社経由の買主が現れる可能性を封じます。
相場よりも高い査定額を提示して媒介契約を獲得し、売れない価格のまま囲い込みを行います。相場より高い価格の場合には反響が得られにくくなるため、当然このケースでも問い合わせ等が少なくなると予想されます。売主には「反応がありません」と報告を重ねることによって焦らせ、数ヶ月後に大幅値下げを迫るという流れになります。これは、業界では「高預かり」と呼ばれる手法です。
あえて売却活動を行わずに売主には「問い合わせがない」と報告して値下げを提案し、その後「もう買取しかありません」と自社の買取再販業者に相場よりも大幅に安い価格で売却させる手法です。
他社が抱えている購入希望者に物件情報が届かないため、購入希望者が現れにくくなり売却期間が大幅に長期化します。情報が掲載されている日数が延びるほど、その情報を見た人は「どうして売れ残っているのか」「長く売れ残るということは何か問題があるのではないか」と警戒されてしまいます。
購入希望者がなかなか現れないため、買主同士の競合が発生しません。そしてなかなか反響がないことから売主が焦り、結果として相場より数百万円安く買い叩かれるといったケースも考えられます。
宅建業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実に行わなければならない、とされています(信義誠実義務)。囲い込みは、売り主から正規の手数料を受け取っているにもかかわらず、自社が両手手数料を受け取るために「より多くの買主候補に情報を届ける機会」を意図的に妨げる行為であるといえます。
2024年6月に宅建業法施行規則が改正され、2025年1月に施行されました。この改正によって、専任媒介契約・専属専任媒介契約の登録物件は、取引の状況を正確に登録する義務が課されています。もし実態と異なる登録を行った場合には宅建業法により指示処分の対象となりますし、悪質な場合・繰り返し行う場合には業務停止や免許の取り消しの可能性もゼロではありません。
売主は、レインズの専用画面にて取引状況の確認が行えます。2025年1月から、レインズの登録証明書に二次元コードが掲載されるようになり、より簡単に専用画面にアクセスできるようになっています。これにより、売主は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」といった取引状況をすぐに確認できます。
法規制では、主にレインズのステータス登録を対象としています。そのため、ステータスは「公開中」にして他社からの電話を断る、内覧調整を後回しにする、一般媒介契約にて口約束を行い、登録義務を回避するなどの手口が考えられます。
レインズの「売主専用確認機能」にて、取引状況を確認します。ここで、身に覚えがないのに「売主都合で一時停止中」や「書面による購入申し込みあり」となっている場合には、囲い込みが行われていないか確認してください。
知人や別の不動産会社から、買主側として「紹介したいお客様がいる」と連絡してもらう方法があります。その時のレインズのステータスが「公開中」となっているにもかかわらず「商談中」と断られた場合には、矛盾した状況になっているといえます。
一般媒介契約では複数社に同時依頼できるため、特定の1社が物件の情報を独占する状況になりにくいといえます。そして他社に先を越された場合には手数料を得られないことから、各社の動きが早くなると期待できます。ただし、一般媒介契約の場合にはレインズへの登録義務や状況の報告義務が無い点には注意が必要です。
媒介契約を結ぶ際に、「他社の広告掲載を承諾する」「他社からの紹介依頼を正当な理由なく拒否しない」といった点を明記することが推奨されます。書面化しておけば、万が一違反した際に契約解除を行う根拠となります。
依頼する不動産会社を選択する際に、両手仲介を狙わない「片手仲介特化型」や「囲い込みゼロ」を掲げている会社を選択するのもおすすめの方法です。
そんなことはありません。大手の不動産会社はやはり店舗の多さと広告による集客力は大きな強みであるといえます。重要なのは「大手かどうか」ではなく、誠実に情報を公開して対応してくれるかを見極めることです。
もし囲い込みが発覚した場合には、レインズ画面などを元にして会社に事実確認を行い、是正を求めてください。改善されない場合には、媒介契約を解除し他社に切り替えを行いましょう。また媒介契約は3ヶ月以内であることから、今後は更新しない方法もあります。
一般媒介契約を選んだ場合、他社に決められると報酬がゼロになるため広告費の配分を絞る会社がある、という可能性は考えられますが、その一方「自社で早く決めよう」という動機にも繋がります。囲い込みを防止するには、依頼する不動産会社に対して定期報告、レインズへの登録を約束させることが大切です。

専任媒介契約・専属専任媒介契約を結んだ場合にはレインズ登録の義務があり、さらに2025年1月からは取引状況を虚偽報告すると指示処分の対象となります。両手仲介を行っているからといって必ずしも囲い込みを行っているとは限りませんが、売却を依頼する際に反響がほとんどないなど気になる点がある場合には確認を行うことが大切です。ポイントは、大手というブランドのみで選択するのではなく、誠実なパートナーを選択することです。
当メディア監修の株式会社フリーダムリンクの永田氏解説のもと、不動産会社による囲い込みとは、その対策とコツを詳しくご紹介しています。